フランシスコの町では平成16年度より、臨床心理士による心理療法を行ってきました。平成18年度までは非常勤心理士3名で行っていたものを、現在では常勤1名と非常勤2名で行っています。
児童養護施設に入所してくる子ども達のうち、約5割強が何らかの虐待を受けて入所しているという報告があります。※1
虐待を受けた経験から、寝つきが悪かったり悪夢をみたり、安心して生活することができずに不安や恐怖を抱えている子どももいます。
職員や入所している子ども達との関係がうまく作れずにトラブルになってしまったり、自分は悪い子だからここにいる、と思っている子どももいます。落ち着きがなく、いつも顔ではニコニコ、でも安定した人間関係が作れない。勉強にも身が入らず、そのことでまた怒られてしまう…。
多くの研究からも、上記にあげた子ども達の様子のように、虐待が子ども達に与える深刻な影響が明らかになっています。※2
フランシスコの町では、そのような子ども達が少しでも日常生活を楽しく過ごせるように、少しでも自分が生まれてきて良かった、と思えるように願い、心理療法を行っています。
箱庭や、いくつかの遊具、机と椅子が置いてある六畳ほどのログハウスです。
この中で臨床心理士が子どもと一対一で心理療法を行います。施設の中で一対一になる場面は非常にまれです。
子どもの症状や状態に応じて、時間や回数、ペースなどが考えられます。
心理士は子ども一人一人と向かい合って、子どもの話に耳を傾け、その行動が何から来ているのかを考えます。
一対一の場面を怖がる子どももいます。そういう子どもの場合は、もう少し広い面会室を利用したりホールを利用する場合もあります。
また、日常の関わりがうまく行くように、職員さんたちや学校の先生にもお話をすることがあります。
このような取り組みの中でだんだんと子どもの心が安定し、安心感を持って生活できるようになることを目標としています。
いつか、全ての子ども達が嬉しいことが嬉しいと感じられ、悲しみも世界を壊すほどではない、と感じられますように。
※1 厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査結果(平成20年2月1日)
※2 http://www.thinkkids.jp/genjou/reason シンク・キッズHPより